おにぎり

あれは今日のような暑い夏の終わり頃のことだと思う。

何かとごたごたしていて落ち付かない生活のために
祖母の所に預けられていた日のことです。

夕方近くになって家の前を流れている川だなに作って
ある茗荷を取りに行こうとして往還に出てみると。

上の方からよろけそうになって足取りの危ない人が歩いてきます。

お婆ちゃんが、もしかすると引き揚げてきた人かも知れないよと二人して暫く見て
おりますと。

ヨレヨレの兵隊さんの服を着た人でした、今にも倒れそうな足取りです。

我が子がまだ満州から引き揚げてきていない祖母はその人に駆け寄ると抱える
ようにして家に連れてきました。

急いで大きなおにぎりを作りお茶を入れて上げていました。

その人は、南方からの復員の兵隊さんで、横須賀から此処まで殆ど何も食べない
状態で此処まで来たとのことです。

祖母の作った麦飯のおにぎりを食べながら何度もお礼を言っておりました。

戦争が終わって一年が過ぎたというのに食糧難は続き外地から帰ってくる人は後を
絶たず、みんな気の毒に思っても手を貸す余裕など無かったのです。

我が子が何処かで沢山の子供を連れて彷徨っているかと思うと祖母は人ごとでは
なかったのだと思います。

兵隊さんは、もう一つ山を越えた部落の人でした。

どうやら人心地が付いたらしく足取りが心持ち軽くなったようで、祖母と私に見送られて又歩き出していきました。

祖母はあと一里くらいだから歩けるよと頭に被った手ぬぐいを取ると兵隊さんの後ろ
姿に深々とご苦労さまでしたとお辞儀をするのでした。

心の中では「満蒙開拓団」として満州に渡った我が子の安否が気になっていたの
でしょう。

お昼におにぎりを作ってフト思い出した。

祖母の優しさと大きな麦飯のおにぎりでした。

祖母は無事に帰った娘親子にも見送られて講和条約終結の日に旅立ちました。
[ 更新日時:2005/08/23 07:53 ]
16:57 | 私の戦後記録 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

花に寄せて

往く夏を 惜しむが如く 夏草の
 葉に同化した きりぎりすいて

庭先に 咲いて可愛い こぼれ種
インパチェンスの 咲き誇りいる

葉鶏頭 花が背伸びの 秋近く
椿の新芽 柔らかく伸び

紫蘇の葉に 芯喰い虫の にくらしい
素早い動きに 吾は手を焼き

幼い芽 ヤット伸びるか 朝顔の
手になる様に 紐を張りおり
16:53 | 花に添えて | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

巾着袋

残暑がこんなに残酷に思えるのも年のせいかしら?

風があるから救われるような物の無風状態だとしたら
かなり非情に感じて仕舞うかも知れない。

大きな方の孫はママとは出掛けなかったようだ。

行けばいいのに・・

優しい子だから、夏休みだけでもママに代わって主婦業をしているようで、何時も
大変な母親を何かと気づかって家のことを手伝っている。

高校2年生にもなると身体も大きくなって、女の子でも頼もしく思えてくる。

今日は、家で仕事をしようと思っていたところに、電話でお昼ご飯だよとお誘いの電話。

では、お邪魔しますとまたまた出掛けていきました。

お昼のテーブルが綺麗にセッティングされていて、食欲の無い私を元気づけてくれ
ました。

楽しいお昼を済ませて浴衣の残り切れで「巾着」を作りたいと私の横に座りお針仕事
を始めました。

今は、運針の稽古も無い家庭科の時間だそうで、指ぬきも使うこともなく器用に針仕
事をしているのには驚きました。

夕方まで飽きることなく黙々とやって、どうやらそれらしい格好になってきました。

一針一針丁寧に縫っていましたから、初めてとは思えない出来映えでお見事です。

夕ご飯を食べて最後の仕上げなのですが、疲れ切って仕舞い気乗りがしないよう
です。

底の作り方の手順を教えて紐を通して出来上がりました。

最後は手伝ってやったのですが、あのままにしておきますと出来上がりの楽しみが
ないままお蔵入りになってしまうのが子供の仕事です。

少しの手を貸しでも出来上がりの楽しさを味合わせえてやりますと又頑張る気が起き
てくるからです。

お蔵入りにしないためにも気分が乗っているときに一気に作り上げて達成感を味じ
合えば又やる気が生まれてきますから。

子育ては、こんな気持ちでやりたいものです。

可愛い巾着が出来上がって後は浴衣が出来れば、彼女の夏休みが終わりを告げる
夏祭りが来ます。
[ 更新日時:2005/08/23 09:14 ]

16:33 | 越してきて | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑