床暖房

それは、未だ我が家が平和で親子4人で楽しい生活を
していた頃の出来事でした。

小学校1年生になったばかりのお下げ髪のお姉さんに
伝い歩きが出来る弟が。

お下げ髪に掴まって立ち上がろうとしたのでした。

不意を突かれた姉は余りの痛さに身を捩った弾みで、投げ飛ばされた弟の腕が肩か
ら外れてしまい、大騒ぎになりました。

越して来て間もない団地で、何処に病院が有るのかも分からずにオロオロしている
母でした。

今その時の息子が、目の前で逞しくなって、私がこれから先、年を取っても不自由
しないで快適な生活が出来るようにと考えてリフォームに励んで呉れております。

最初は、床暖房だけの話が段々と手が広がって、親孝行して上げるから心配しない
で見ててねと言われますと。

嬉しさと同時に主人が倒れたときに、一家心中を考えた時の苦しさが甦ってきます。

私が、あの忌まわしい戦争を体験していなければ、安直な道を選んでいたかも知れ
ません。

あの辛さを乗り越えられたのだから、頑張れると思い頑張って、親子4人で切り
抜けてきて今のこの幸せが有るのです。

息子が、若くして所帯を持った者ですから自分の生活に追われて今まで何もして
上げられなくて済まなかったとしんみり言われてしまいますと。

目から吹き出す熱いもので周りが見えなくなってしまいました。

子供にお金が掛かる今ここで無理をすることは無いのに・・・。

でも死んだら出来ないでしょうと、言われると「うん」としか言いようがないのでした。

月の綺麗な夜でした。
[ 更新日時:2005/09/15 13:25 ]

19:19 | 大工の言い分 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑