牡丹餅



急いで家に帰り餅米を研ぎながら今自分がどうしてこんな事を
しているのか。
手が勝手に動いて脳が何も命令していないのに手だけが動いて事が
運ばれている中に身を置いているのだった。

小一時間で出来上がった牡丹餅を持って今来た道を小走りに走って
いる。

着物の裾が急ぐときはやたらと足に絡み付く。
急がないと間に合わないかも知れない・・・どうしよう。
次は何時面会の日が許されるか解らないしこの侭一生逢うことが出来無いかも知れない。

こんな事をすればお腹の赤ん坊に悪いことは解っていても若い身体は
そんなことを考える暇がないほど焦っていた。
もっと早くに連絡してくれていればこんな思いはしないで済んだもの
をと。
嫁と言っても相手に召集令状が来て出征してしまうと婚家の態度は冷たく実家に返されていたのだ。

朝早くに採れたての野菜を届けて始めて今日が面会日だと聞かされて
一緒に連れて行って下さいと頼み込み飛んで家に帰りあの人の好きだった牡丹餅を作ってきたのだった。
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07:34 | 創作 | comments (4) | trackbacks (0) | page top↑