FC2ブログ

ひなたぼっこの縁側日記

日々のことをつれづれなるままに書いて行きたいと思います。
2006年08月 ≪  123456789101112131415161718192021222324252627282930 ≫ 2006年10月
TOP ≫ ARCHIVE ≫ 2006年09月
ARCHIVE ≫ 2006年09月
  • 秋桜 (2006.09.17)
       次ページ ≫

≪ 前月 |  2006年09月  | 翌月 ≫

秋桜

20060917204512.jpg

四角い封筒に行儀良く書き連ねた宛名を見て性格そのものだわ
と思うと思わずクッスと声が漏れるのだった。
早く封を切りたい気持ちを無理に抑えて手にした箒とちり取りを
元に戻すと丁寧に手を洗った。

下駄を揃えて脱いで急いで茶の間の手箱から握り鋏を取り出すと
エプロンのポケットから大事に取りだした封筒を開ける。

一週間に一度は来るいつもの便りだが何時も新鮮な感じがするのは
何故だろうか。
綺麗な字で書かれたやさしが溢れる手紙を読みながら元気でいてくれることが何より嬉しいと思うのだった。

3才違いの久夫とはどちらからともなく好意を寄せていた。
お正月のご年始や親戚の法事や祝い事に顔を合わせるようになって
何時頃からお互いが意識し始めたのか覚えていないのだが今はこうして
お互いに手紙のやり取りをしている。

父も母も知っているらしいが特別に咎められた事はない。
従兄同士という事で反って安心しているようだった。
満州から苦労の末に引き上げてきて夜学で学び大勢の兄妹のために
働き通して自分の楽しみを知らない人の様だったが良く本を読んでいた。

ある時本家に親戚一同が集まる祝い事が有った帰り道に叔父さんが
「どうだ嫁に来るか」と急に言い出した。
母の兄妹の半分はその場にいたのだった。
突然のことで田舎道を歩きながらする話しでは無いでしょうと言う様に
末の叔母が「そんな仲だったのー」と素っ頓狂な声で叫んだ。

久夫はその場にはいなかった。
母は黙っていた。
叔父の性格をよく知っていたからだ。
母と叔母は仲がよい姉妹だった。
内々に叔母から母に話しが来ていたらしい事を私は薄々は知っていたのだが。

何しろ久夫には
姉妹が多いのだった。
みんな従姉妹だから問題はないのだが。
叔父の性格が好きになれないでいた。

秋のある日二人はみんなを安心させた。
叔父も叔母も優しかった新しく立てられた別棟で二人の新しい人生が
始まった。
スポンサーサイト