風受けて筵の凧の揚がる朝

冬至が過ぎると父が落ち着かなくなる。

その日の朝は母は朝から大忙しだ。

赤飯を蒸かし、煮しめを作り子供は酒屋に走らされる。

親戚の物好きな叔父さん達が集まると父の顔が緩み
作業小屋の中から大事そうに真新しい綺麗に織られた
筵が運び出されて来て。

まるで悪戯を見付けたような顔をした大人達が筵の廻りに集まり
大きな凧が出来上がる。

畳一畳くらいの唸り凧で荒縄のシッポを付けて太い竹の梁に括られた
凧は農家の広い庭が狭く見える程大きく見えた。

冬の間遊ばせて在る「苗代」用の田圃に太い杭が打ち込まれて風の向きを
読んで揚げるのだが簡単に揚がってくれないのが、それはそれで楽しいらしい。

風をはらんで旨く揚がると一升瓶の蓋が開き茶碗酒でまず一休み。

揚げる綱はロープで一度揚げると少しくらいの雨では下ろすことはしなかったと
思う。

村々の彼方此方で唸り凧が揚がると一気にお正月気分になるのだった。

風の強い日はびゅーんびゅーんと唸って大きな空の主の様な姿が今でも
目に焼き付いている。

今は揚げる人が居ないようだ。

昨日今日は「少林山」のだるま市」で明日は前橋の初市で道一杯に
達磨やさんのお店が並ぶ。

この達磨さんは髭と眉が鶴と亀で縁起が良いらしい。

行きは北風に向かって一生懸命に自転車を漕いで行くのだが帰りは
「唐草の風呂敷」に大きな達磨さんを背中に括り付けて来るから自転車は
自然と走ってくれる。

上州名物の空っ風も良い物だと思う。

*空っ風や賽の目遊び赤城山

*花札や猪鹿蝶と落花生
12:33 | 故郷 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑