ひなたぼっこの縁側日記

日々のことをつれづれなるままに書いて行きたいと思います。
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囲炉裏と自在鉤と

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 疎開先の祖母の家には囲炉裏が二つあった。

家事に使う物と、表座敷に来客用の物と、田畑から帰り草鞋を

脱ぎ直ぐに暖が取れる囲炉裏は板敷きで土間の奥にあり、

 大きな五徳の上に鯉が跳ね上がった自在鉤が下がっていた。

上がりがまちを上がった座敷の囲炉裏には自在鉤は無く、冬場だけ

来客用に囲炉裏が切ってあり、遠方からの来客が暖を取るのに

使われていたようで、夏場は蓋がされていた。

 座敷の囲炉裏の縁は何時も祖母が丁寧に磨き上げ木肌が輝き光っていた

記憶が今でも脳裏にある。土間の囲炉裏には何時も五徳の端のぬく灰を

ソッと避けると、忙しい中を叔母の手による「焼き餅」が焼かれ冷めないように

埋められていたのを懐かしく思う。五徳の上に鍋や鉄瓶が無いときは

自在鉤は高く吊されており、鉄鍋で煮物をするときは鍋を鉤に吊して

下ろすと火の調節をしないでも鉤の高さで火力が調節できる優れもので

昔の人の凄い知恵に驚く、天井から吊された自在鉤が一本の筒の中を通り

横から鎖で調節され黒光りの鯉が跳ねるように思いのままの高さを

調節している様子を不思議とも思わずに当たり前と思い過ごした

子供時代で有ったが、大人になった今、始めて先人の素晴らしい知恵に

驚いている。

 囲炉裏には何でもくべることが出来家から出る塵は今の時代より

少なくて済んでいたと思う。エコが叫ばれている現代、もう少し

時の流れを緩やかにし、一時、佇んで見るのも良いかのかもと

思う。

 囲炉裏の灰はとても綺麗で一日の終わりを告げ休むときには

掃除がされ、時には鍋釜を磨く時に使われたし、燃木は、季節により

何でもござれで、時には掘り起こした大きな桑の根が五徳を

外して放り込まれていることもあった。

 囲炉裏のそばには必ず火消し壺が置かれ大きな熾きは鉄の火箸で

摘まれ火消し壺の中で消し炭となり、座敷の暖を取る火種となり

無駄なく自給自足の知恵が働いていた日常生活がそこにはあるのだった。

 囲炉裏には何処の家も家長の座る場所は定められており家によっては

薄い座布団が敷かれたり、藁で編んだ丸い藁座布団が引かれていた記憶が

ある。藁屋根の家が多い地方であったから火の元には特別な神経を使い

子供には特に厳しく囲炉裏の火を使うことは禁じられていたのだった。

 慎ましく貧しい生活ではあったが、囲炉裏の廻りには家族の団らんが

あり、TVもない時代でも長い夜を退屈することもなく過ごせたのだった。

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